【宇部の】大人の社会見学ツアー【伝説】

 というわけで、今日も今日とて朝から出発ですよー!

「今日の予定は知ってますよ! 大人の社会派ツアーなんですよね!」

 うん。
 でも、悪いけどヒビキさんは……。

「……むしろ出さないで下さいよ」

 ですよねー。

 とりあえず朝ご飯は、行きがけに佐波川SAの吉牛。

 集合場所の宇部空港に到着。

 念のためにひと区間ほど高速使ったのと、宇部有料が無料になってショートカット出来たおかげで、まだ集合時間にはちょっと余裕がある感じ。

 なので、宇部空港に隣接した公園をぶらぶらと。

 オオカミうお先生の『チロリン堂の夏休み』はどうやら宇部っぽいと(新井さんの中で)評判なわけですが、作中に出てきた亀浦近辺はこの辺りなんですよね。

「あれが島ですか?」

 あの島、前はちゃんと作中通りのイメージであったらしいんだけど、滑走路の延長工事でなくなっちゃったらしいのね。
 島の面影を公園内に残してあるって話だから、多分あの島がそうなんだろうね。

 そんな感じでヒビキさん分を補充して、いよいよツアースタート!

 最初の到達地は、薬仙石灰さん! 石灰工場です。

 採掘から出荷までをここ一カ所でまとめて行うそう。

 あと重機カッコイイ。

 宇部興産の石灰事業を支える伊佐の町並。

 今回のツアーコーディネイターのかたは、宇部興産の最前線で長年立ち回っておられた生き字引のようなかたで、伊佐エリアの立ち上げから興産道路など、主要事業にも関わっておられたそう。
 軽妙なしゃべり口で面白いトークだったのですが、あまりに貴重な情報なので保存しておくべきと、記録係のかたが同行してらっしゃいました。

 そんなお話の一部ー。

・美祢線は現場組が本気を出し過ぎて一年で開通した
・開通当初は年中無休で港まで貨物を運んでいた。だが大晦日も本気で運びすぎたため「紅白見られない! うるさい邪魔!」と沿線の住民から苦情が殺到。仕方なく年末年始は休みにした
・ただし年末年始も宇部の工場は容赦なく稼働していたため、原材料確保の段取りは大変だった

・美祢線が2010年の水害で使えなくなった時、山口線経由で行っていた美祢~三隅の炭カル・フライアッシュ運送を、健在だった長門経由で運ぶ案も出た
・だが美祢以北の線路は旅客特化で美祢以南よりも安価なレールを使っていたため耐久力が足りず、トラック輸送になった

・興産道路が出来たのは、年末年始の件やその他諸々で鉄道では色々大変だったから
・興産道路は山を切り通して作ったが、通した山は全部粘土山。粘土はもちろん自社製品の原料として使い倒した
・興産道路は規格外のマシンが激走するので、日本の高速道路よりも頑丈に作ってある
・「もしかしたら規格外のマシンが規格外すぎてブレーキ効かなくなるかも……」という理由で、開通当初から道路の何カ所かにマシンを突っ込ませて止めるための砂山が設けてある。あくまでも想定外の事態を想定しての事なので、今のところは想定の範囲内のまま(=一度も使った事はない)
・想定外の事態は想定外、ということは技術屋としてありえない

・美祢~宇部の搬送手段として、ベルトコンベアという案もあった
・ベルトコンベアにNGを出したのは当時の社長
・ベルトコンベアにしたら、美祢は採掘するだけの場所になってしまう。でも道路なら、美祢に工場を作って宇部と人や資源をやり取りする事が出来る
・美祢に立派な工場があれば、もし採掘が終わってもそれで美祢はやっていける
・孫の世代に「爺の世代にやり尽くしたからもうここには何もない」と言われるようではだめ
・なので、興産道路がベルトコンベアになっていたら、美祢は夕張のようになっていた可能性もある

・自他共栄……ではなく、自他同栄

・石灰産業最強説
・美祢で石灰を作りまくっているため、宇部は今でも石灰を触媒にして海水からマグネシウムを作る事が出来る
・山口県は鉱物資源天国。特に無煙炭と石灰岩に関しては奇跡的なレベル

 伊佐は古来から下関~萩を繋ぐ主要ルートの一つ。
 江戸末期の七卿落ちも、このルートを使って行われたそう。

 お昼。

 そしてバスはいよいよ宇部へ向かいます。

 通るルートは、宇部興産専用道路! 総延長30kmの日本最長の私道!

 あっ!

 規格外マシンきたーーーー!

 私道を走る事に特化したマシンなので、ナンバープレートも自社仕様。


 現行は3バージョンあるそうです。

 さらに興産大橋も!

 渡りました!

 これは釣りバカ日誌でもハマちゃん達が渡ってましたね。

 宇部側の工場も見学。


 その後は宇部コンテナターミナルの見学。

 9.11の所為で国際港は一般人の立ち入り禁止区画にされてしまったのですが、今回はツアーということで特別に!

 巨大クレーンの稼働実演。

 船が居れば積み込みもしてくれたそうなのですが、今回は残念ながら船はいなかったため、コンテナの持ち上げのみ。

 コンテナの中身(今回はドバイから運んできたアルミインゴット。車のホイールに使われるらしいです)の積み替え実演も。

 そこから空港に戻って、解散。

「おつかれさまでしたー」

 楽しかったわー。

 ツアーだからヒビキさんが出せないのは残念だけど、それを補って余り有るほど有意義なツアーでした。
 特にコーディネイターさんのお話が圧倒的過ぎた。

 8月末にも同じシリーズのツアーに参加予定(コーディネイターさんは別のかたらしいですが……)なので、そこでも面白いモノを見られる事を期待してしまいますよ!

 というかこの手のツアー、防府でもやらないのかしらね……?
 塩田とか東大寺絡みの話とか幕末絡みとか、それなりに面白そうなネタは転がっているのだけれども。

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