鉄人28号 第5話

 サブタイトルは鉄人vsブラックオックスという、鉄人屈指の名対決。
 ……なのですが。何というか、今期の鉄人は見てて辛い。別に正太郎のアゴがしゃくれてるのが見てて辛いとか、そういうワケじゃありませんよ。

 あたしの中の鉄人と言えば、鉄人28号FX、ファミ劇でやっていた白黒鉄人(OPにグリコが入るやつ)を少々、後はマガジンZでやっている長谷川裕一版くらいのもの。太陽の使者~は覚えていないし、実は横山鉄人も読んだ事がありません。
 それだけの感想で書かせてもらえば、それらの鉄人と正太郎少年の間には鋼の友情があったはず。操縦者とロボットという立場ではあったけれど、正太郎は鉄人を信じ、鉄人はその無敵の力を正太郎の意のままに振るってきた。操縦器を奪われて鉄人が敵に回った時も、正太郎少年は鉄人を信じ、少年探偵としての力全てを賭けて操縦器を取り戻そうとしていました。
 自らの僕ではなく、友を取り戻すために。父の残した想いを悪用させないために。

 その熱い友情が、今回の鉄人にはありません。

 それどころか、正太郎少年は鉄人を『忌まわしき戦時の遺産』として嫌ってすらいるという。それはそれで新鮮な視点なのですが、第3話で鉄人がオックスに大敗したときも、悔しがるどころか「やっぱり鉄人は使えない」と言い捨てる始末。
 いやん。

 ジャイアントロボが大怪球フォーグラーに敗れたとき、大作少年は涙を流しました。
 長谷川版で鉄人がブラックオックスに苦戦したときも、正太郎少年は鉄人を信じました。
 あのアムロでさえ、ランバ・ラルと相対した時には「勝ちたい!」と願うほどなのに。
 今川版正太郎は鉄人が敗れようとも、何の想いも抱かない。

 まあなんというか……燃え所が今一つ分からないわけで。

 今回の鉄人対ブラックオックスも、鉄人vs最強の敵という屈指の好カードであるにも関わらず、まるっきりの空振り。オックスのキモである妨害電波も敷島博士が何となく対処したようで、結局何となく戦ってました。
 これでフランケン博士が長谷川版のように『鉄人を付け狙う悪の大科学者』であれば格好もつこうというものですが……この爺さんの関心は自分の作った人造人間に一直線で(話の展開上、それ自体は仕方のない所だけれど)、宿命のライバルたる鉄人をただの障害物としか認識していない。
 鉄人嫌いな正太郎vsオックスにも鉄人にも関心のないフランケン博士の空前の大一番。それじゃ盛り上がる場所も盛り上がらないわけで……。

 次回は操縦器を奪われる『鉄人28号』のヤマ場的な話だけれど、一体どうなるのかしらん。第1話の冒頭じゃ鉄人と正太郎は名コンビ……みたいな描かれ方をしてあったから、いずれは名コンビになるのだろうけど。
 オックスもフランケン博士ももう出ないだろうしなぁ。どうなるんだ、本当に。

 最後に断っておきますが、あたしは鉄人は大好きです。今川監督も大好き。
 長谷川版鉄人は死ぬほど燃えるし、今川監督のジャイアントロボはトップをねらえ!と並ぶ至上の名作の一つだと思ってます。
 ファンでなきゃこんな酷評なんか書きませんて。わざわざ。

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