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ネコミミ冒険活劇びーわな!
ティア・ハーツ
第4.5話「続きの番外」(後編)

「おや?あれは…。」
「ん?」
 廊下を歩いていたエイスと、その肩に乗っているエルマは、その視界の先で言い争っている少女二人を見つけた。二人の顔を知っているエルマは、慌ててエイスの背中に隠れる。
「どうした?アマネ殿とハイニ殿がどうかしたのであるか?」
 エイスも見習いとはいえ、プリンセスガードに関わる者だ。ルームメイトであり、アリスのPGであるハイニと、シーラのPGであるマリネを彼女が知らないはずはない。
「あいつだ・・・あいつだべ。オラが探していた人物わっ!」
「にゃんと。」
 とにかく近づいて何を話しているのか聞いてみようということになり、近づく少女と魚。


「な・・・何を言っているの?」
 ハイニの挑戦に、マリネは自分の耳を疑う。
「言った通りのことよ。今夜零時、フェ・インの体育館でお待ちしていますわ。」
「そんな・・・。貴女でもわかるでしょ?王女の祝福を受けたティア・ハーツ同士が戦えば・・・体育館など簡単に吹っ飛んでしまうのよ!?」
 マリネはシーラの、ハイニはアリスの祝福を自分のティア・ハートに受けている。姫の属性により、多少影響は受けるが、基本的に祝福の優劣はない。
「そうですわね。でも、あたしは一度でいいからあなたと戦ってみたかったの。自分の力を、試してみたかったのよ。」
「そんなことで・・・。」
 確かに、血の気の多いプリンセスガードの中には、祝福を受けたティア・ハートの強さを試したくて、色々と問題を起こす人間も少なくはない。自分の力を見せ付けたい・・・という奴も居る。
 大体そういう人間は、他のプリンセスガードによって取り押さえられ、再びティア・ハートを封印させられた上で、徐隊させられる。過去、プリンセスガードを除隊したもので、祝福を受けたままのティア・ハートを持っているのは、ウィスムマァカを含む極わずかしか居ない。
 思慮深いハイニが、そんな愚かな者たちと同類とは思いたくないが・・・。
「どうしたの?返事がないなら強硬手段に訴えるわよ。」
 マリネがそんな考え事をしている隙を突いて、ハイニの腕が伸びる。
「あっ、私のクルリラ・・・っ!」
 あっという間に、マリネがいつも大事そうに抱えている人形(クルリラ)を奪い取ったハイニ。
「この人形を返して欲しかったら・・・。」
「今夜零時、体育館ね。わかったわ・・・。」
 マリネはハイニをキッと睨む。人形を奪われたことで、彼女も覚悟を決めたようだ。
「よろしい・・・。あたしは体育館への抜け道を知っているから、先に行って扉のカギを開けて待っているわ。」
「あらあら・・・どうしましょう・・・?」
 険悪な雰囲気に、リチェルはオロオロと二人の間を行ったり来たりしているだけだった・・・。

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