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ネコミミ冒険活劇びーわな!
〜Excite NaTS-Extra〜
『連なる、断章』

「……あれ?」
 流れてくる旋律に、有翼族の少女は思わず足を止めた。
「どうしたんですか? クラムさん」
 どこかで詩人が唄っているのだろう。
 緩やかなソプラノは、ピュルスの店にいる片目の詩人の声だ。行きつけの店の同じ常連同士、自然と覚えもする。
「いや、ちょっとね。懐かしい曲だなぁと思って」
 純白の翼を軽く撫で、クラムはしんみりと呟いた。
 大して面白みもない辺境の村だったが、こうして離れた地で思い出に出会えば、随分と懐かしい。
「故郷で、幼なじみがよく歌ってた曲だから」
 この唄をのんびりと奏でていた翼の少年は元気にしているのだろうか。風の噂では、吟遊詩人として旅立ったとも聞くが……。
 スクメギの騒ぎが一段落ついたら、一度戻ってもいいかなと少女は漠然と思う。
「私の故郷の民謡とは、だいぶ違いますねぇ」
「へぇ。ミユマの故郷の歌って、どんな感じなの? 歌ってみてよ」
 興味を示したクラムに、笑顔で頷くミユマ。故郷の民謡大会でも優勝したことがある腕前だから、歌にはそれなりに自信がある。
「大地の神様を称える歌なんですけどね。歌えば歌うほど、元気が出てくるんですよ」
 すぅ、と息を吸い、参加者三名の大会で優勝した少女は、朗々と歌い出す。勇壮なメロディを勢いよく歌うせいか、あまり上手下手は関係ない気もするが……。

 ろーっこーう おろーしにーーーー

 以下略、と続けるしか、なかった。




ぎゃふん。終わってしまえ。

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