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次回予告

 決戦の夜から、数日の後。
「いやぁ。死ぬかと思ったよ」
 病院のベッドの上で穏やかに微笑むのは、包帯まみれの悟司である。
 最後の戦いで受けた傷は深かったが、応急処置がしっかりしていたおかげで後遺症も残らないと言われていた。
 もっとも、深い傷の魔法治癒には相応の痛みと体力が必要となるため、もう数日はベッドの上での生活になると言われていたが……。
「もぅ………心配したんだからね!」
 そして、ベッドサイドにいるのは彼のパートナー。
 彼の怪我は、彼女を庇ったために受けたものだ。もちろん、そうでなくても心配するに決まっていたけれど。
「うーん。でも、百音のこと好きだからさ。好きな子を守りたいって思うの、別に不思議な事じゃないだろ?」
「……………………………へ?」
 あまりにもさらりと口にされた言葉に、一瞬、聞き違いかとも思ってしまうが……。
「………今、何て?」
「百音のこと好きだから」
 定番のボケではなく、今度は直球で来た。
「ふぇぇぇっっ!?」
「テメェ悟司! こんな所でそんな事言うのは反則だろ!」
「ってレイジ、どっから聞いてたんだよ! ……ててて」
 ノックもなしに入ってきたレイジに流石に声を荒げようとして。全身を走る痛みにそれきり言葉を失って、悟司は静かにベッドへ逆戻り。
「どこもなにも百音のこと好きってむぐぐー!」
「…………すまんの。お邪魔虫は帰るから、続きは二人でゆっくりやってくれ」
「離せ、離せ良宇! こいつ、とりあえずぶっとばさないと気が済まねえ! ってか返事はすぐにとか言ったらマジで許さねえからな!」
 レイジの声は廊下の向こうまで響き渡っていたが、やがてそれより大きなナースの声に掻き消され、それきり聞こえなくなった。
「え、ええっと…………答え、すぐでなきゃ……ダメ?」
「せっかく事件も解決したんだし……。ゆっくり考えてよ」

 壁に掛るカレンダーを眺め、悟司は穏やかに呟いた。

 そうだな。
 クリスマスの時にでも……答えてくれれば、いいから。


続劇

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