Excite NaTS #3.5 連鎖する裏切り 仮設テントの指揮官舎を出、豹族のビーワナはため息をついた。 「ったく。あの連中は無茶ばかり言いやがる……」 グルーヴェ王都からやって来た獣機兵団のトップ達。一向に成果の上がらないシェティス達を督戦すべくやって来た彼らは、スクメギに突如現れた謎の敵『客人』に半壊の憂き目に遭っていた。 勿論、その怒りの矛先は不甲斐ない駐留軍に向けられる訳で……。 再びため息をつき、駐留軍臨時代表の雅華は自らのテントへと。 「どうだいレアル。連中の調子は」 「落ち着いたみたい。今はみんな寝てる」 さして広くもないテントの中に眠る5人の少女達を一瞥し、スパイの少年は面白くもなさそうに視線を逸らした。 「まあ、ショックだったろうしねぇ……」 そう。5人である。 生きていたドラウンに裏切られたシェティス。 信じていたレアルに裏切られたエミュ。 運命の子の偽物と告げられたクラム・カイン。 そして、人の姿を取り戻した『獣機』、シスカとハイリガード。 激しい戦いで体と心を使い果たし、彼女達は泥の様に眠っている。 「私も疲れてるんだけどね……。レアル、アンタも寝ていいよ」 「寝られないから……もう少し、番してるよ」 あっそ、と言い残し、雅華はその場を後に。 「やれやれ……」 神話の世界から現れたという、圧倒的な力持つ灰色の敵『客人』。本国の指揮官の来襲と前指揮官の裏切りで指揮系統を完全に喪ったグルーヴェ。そして、スクメギから連れ出した二人の捕虜。 駐留軍隊長であるシェティスが心神喪失で使い物にならない今、その代理である雅華達で真実を求め、決断するしかない。 「世の中全て0と1。中間が無いとは言え……どうするべきかね」 取りあえずは眠って英気を養おう。雅華はそう決め、近くにあった女性士官用テントに潜り込んだ。 |