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7.転章・こじあけられた柩

「開いた、ね」
 丘の上からは、その光景を一望する事が出来た。
 スクメギ遺跡群。
 その各地、『柩』と呼ばれる巨石の群れから光の矢が立ち上る、荘厳な光景を。
「うむ。これぞ、運命の子の力よ」
 その光の元にあるのは、『柩』の内に眠っていた獣機達。既にスクメギの山師や技術者達が回収に向かっている。
「運命の子……ねぇ。まだ捕まえてないのに、大丈夫かね、オッサン」
「案ずるな。手は既に打っておるわ」
 おどけるような少年の言葉に、老爺はローブの下から一枚の羊皮紙を取り出し、しゅるしゅると嗤う。
 少年が受け取った羊皮紙にあるのは、少女の絵姿と、懸賞金10万スーの文字。10万スーといえば、一生の半分くらいは遊んで暮らせる大金だ。
「あーあ。アンタみたいなヤツを部下に持って、姉ちゃんが可哀想だよ」
「『白き翼の運命の子、獣機の主となりて全ての闇を打ち払う』。マイマスターの託言の力……お主らも知っておろうて」
「知ってるよ。だから、俺もこうして足を伸ばしたんじゃんか」
 ま、半分はイル姉のためだけどね、と付け加え、キッドは軽く背伸び。
「じゃ、俺は帰るわ。アンタの事は、マスターによろしく言っとく」
「うむ。頼むぞ、少年」
 そして、少年は天に消え、老人は大地へと姿を消した。

 光は天を突き続ける。
 それは、新たな戦いの鏑矢か。
 それとも……?



続劇
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