ボクらは世界をわない

その他、特殊な設定など


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◎ガディアの文明、風俗、交通
 スピラ・カナンは基本的にファンタジー世界ですが、細かい所の説明をしていきます。


文明
 国によって若干の差はありますが、おおむね中世程度の文明レベルを持っています。

 魔法や古代遺産レガシィの効果で現代文明に匹敵・もしくは凌駕している部分もありますが、どちらも稀少度が高く、世間一般に定着している技術とは言えません。


 仕事は基本的にギルド制です。
 だいたい十歳を過ぎた辺りからギルド(職能集団)に所属し、見習いとして仕事を仕込まれます。
 その後、早い者で十代後半辺りで一人前と認められてから独立、自らの店を持ったり、大きな店の主力として働けるようになります。
 ギルドは国家を越えて存在しており、平野の国の船大工ギルド構成員は、夜空の国でも船大工として仕事をする事が出来ます。


 学校教育制度がないため一般の識字率はそれほど高くありませんが、冒険者は仕事の都合上、一般人に比べて高い識字率を持ちます。
 地方では冒険者が小遣い稼ぎに子供や大人に読み書きを教えている事や、書類の代筆をする事も珍しくありません。
 古代人、ルードは全員読み書きが可能です。


 全ての出自は一つであるため、使われている言語は全国共通です。各国で方言レベルの差はありますが、通じないほどではありません。

 魔族や亜人種には身内だけで通じる言語を使う種族もいますが、彼らも第二言語として共通語も身に付けています。



宗教
 敬うべき存在がおらず、また奇跡を起こせる者も身近にいるため、創世神話や大規模な宗教は存在しません。

 かつては月の大樹に神が住み、世界と人類の祖先を創った……などという神話が流行った時代もありましたが、当の古代人が月の大樹=神という説を否定しており、現在は廃れています。


 現在の宗教は原始的な自然信仰が細々とあるだけです。
 墓の習慣はありますが、『死んだ人のことを忘れないため』という記念碑的な意味合いが強く、天国や輪廻転生、先祖崇拝といった死生観はあまり広まっていません。

 そのため、人を看取る際には信頼の置けるルードが残った生命力をビークで集め、『貴晶石』として結晶化させる事も一般的に行なわれています。死者の魂を結晶化させたそれは、家族がお守りとして引き取ったり、ルードに預けられて新たなルードの起動に使われたりと様々です。
 このような背景があるため、ルードは死の使いとも、死んだ者を再び生まれ変わらせる生の使いとも言われています。



交通
 基本的な交通手段は、徒歩、もしくは馬です。

 転移魔法や飛行魔法、小型の飛竜など家畜化された魔物が使われる事もありますが、騎士団や至急の伝令などごく一部に使われているだけで、一般的なものではありません。

 バイクや飛行機械などのレガシィもないわけではありませんが、多くの場合カートリッジでは動力を賄いきれないため(非常に燃費が悪いです)、こちらも常用はされないのが普通です。



通貨
 国際通貨としては、山岳の国ゲヴィルグスで鋳造される『ゼタ』があり、街道沿いの街ではほとんどこのゼタ貨が使われています。

 四分ゼタ小銅貨、半ゼタ青銅貨、一ゼタ鉄貨、十ゼタ銅貨、五十ゼタ小銀貨、百ゼタ大銀貨、千ゼタ金貨が通常流通しています。

 ゼタ貨が通じない辺境では両替商に現地の通貨に換金してもらう必要がありますが、ガディアなど街道の街では特に必要はありません。


 だいたい一ゼタは二〜三百円程度の価値になります。日用品は安く、高級品はより高い風潮があります。
 エール一杯が半ゼタ、普通の食事であれば一食一〜二ゼタ程度です。一日五ゼタあれば、普通の生活を営む事が出来ます。

 ルードはサイズ的にあまり大量の貨幣を持ち歩けないので、逗留先に預けていたり、宝石にしてかさを減らして持ち歩いたりする事が多いようです。
 ガディアの『月の大樹』では、シノのおかげでこの預け入れ制度が整っており、これもルードが逗留する事情の一つになっています。



単位系
 古代人の影響で、SI単位系がそのまま使われています。kmや秒なども同じです。


 二十四時間で一日、七日で一週間、二十八日で一ヶ月、十二ヶ月で一年になります。分・秒なども同じです。
 一時間は336日で一年になる計算ですが、公転周期と合っているらしく、閏年などはないようです。

 一週間は、赤橙黄緑青藍紫の七曜で示されます(赤曜日、など) 仕事ごとに生活サイクルが違うため、地球の日曜日のように全体の決まった休みは存在しません。
 ただしどの仕事も、週に二・三日は休みを入れるようです。



◎特殊な設定
 スピラ・カナン特有の設定です。主に古代文明関係の設定が中心になります。


レガシィ
 月の大樹時代の遺跡から見つかる、未だ使える古代の道具の通称です。当時の道具には経年劣化を防ぐための特殊なコーティングが施されており、現代でも問題なく使う事が出来ます。

 ただし動力源などはコーティングしきれないため、大抵の場合使用不能になっています。そのため、動力の必要な物は魔晶石と呼ばれるエネルギー結晶から取り出した力で代用しています。
 魔晶石動力のレガシィは、明かりのような小さな物なら十年単位の稼働時間を持ちますが、乗り物や火器など大きな物・大出力の物は数日(銃器なら数発)でその力を使い果たしてしまう物もあります。

 なお、あくまでも特殊なコーティングが施されているだけなので、壊れないわけではありません。また、使っているうちにコーティングが剥がれ、以降は普通に劣化していく物もあります。


 レガシィの中で最も重宝されるのは、電灯です。
 トランシーバーなどの特殊な用途の道具は、軍事用に国が買い上げている事も珍しくありません。
 ルードの部品も、旅商人のルードが高値で引き取ってくれます。


 ちなみに大型船舶や飛行機械など超大型のレガシィも見つかっていますが、動力がないため(魔晶石や貴晶石では到底足りません)動かす事は出来ません。



古代人
 稀にですが、遺跡の中で稼働中のコールドスリープのポッドが見つかる事があります。『棺』と冒険者達の間で呼ばれるそれですが、適切な蘇生処置を施せば、古代人が蘇る事もあります。

 大半の古代人は蘇生処置を施した者の支援を受け、現代社会に溶け込んでいきますが、中にはその知識を生かして王宮などに登用される者もいます。
 ただし、古代人の知る知識は現代社会では革新的過ぎる物も多く、かつてそれが原因で滅んだ国もあると言われているため、古代の知識の活用にはどの国も慎重な姿勢を崩せずにいるようです。



魔法
 空間に漂う力の源『マナ』を利用し、超自然現象を起こす技法です。空を飛んだり、炎を放ったり、傷を癒したりする事が出来ます。

 特定の訓練を受けた者だけが使える特殊技能であり、誰もが使えるわけではありません。

 マナの正体は、スピラ・カナンの開拓時に大気中に散布された自己増殖型ナノマシンの末裔ではないのか……と言われています。



魔晶石
 小指の爪先ほどの大きさの結晶体です。
 小さいですが、生命エネルギーを超高密度で圧縮した魔力の結晶で、レガシィの電源、ルードの動力源、魔法使いの魔力の補助など、スピラ・カナンの様々な所で使われています。

 魔晶石そのものはレガシィではなく、魔物の生命エネルギーを凝縮・結晶化することで作られます。この結晶化は非常に時間のかかる魔法儀式で行われるものですが、ルードだけは『ビーク』と呼ばれる専用武器を使うことで即座に魔物を結晶化することが出来ます。

 また、魔晶石は非常に小さくそのままでは(ルード以外には)使い勝手が悪いため、人間が使う際には乾電池ほどの大きさの金属筒(カートリッジ)に封入して使うことがほとんどです。

 標準品質の魔晶石をエネルギーとして用いた場合、懐中電灯サイズの明かりなら数十年、ルードの食料とした場合は一週間程度のエネルギーに相当します。

参考資料:ビークと共に並べられた魔晶石。透き通った魔晶石には様々な色が付いているが、中の特性はほぼ同じ。
 ルードの手の平に乗る程度の大きさしかないため、人間が扱うにはそれなりに困難。




貴晶石
 上位の魔晶石です。非常に強力な魔物を結晶化した場合、この貴晶石になります。通常の魔晶石の数十倍の力を持つ物もあり、市場に出回った場合は非常な高値で取引されています。

 ルードの起動時には必須とされる材料であるため、ルードの中にはこの貴晶石を手に入れるために冒険者として活動している者もいます。



ビーク
 ルードの使う槍状の武器です。
 魔晶石を挟む部位がくちばしに似た形をしており、そこからビーク(くちばし)と呼ばれるようになりました。

 非常に頑丈に作られているため通常の武器としても使えますが、突き刺した標的に対してビークの機能を解放することで、相手の生命エネルギーを吸収し、結晶化させる機能を持ちます。こうして作り出されるのが魔晶石です。
 また、結晶化した魔晶石の力を解放する機構も持ち、その際には強力なエネルギーの刃を発動させる事も出来ます。

 ただし魔晶石を作り出した際には生物のエネルギーのほぼ全てが吸い尽くされているため、残った毛皮や爪・牙の価値はほとんどなくなります。
 逆に毛皮や爪・牙などを多く失った生物を結晶化した際には魔晶石の品質が落ちるため、狩猟目的の冒険者と魔晶石目的のルードはあまり仲が良くないと言われています。

 ビークはレガシィなので、現代の技術で穂先部分の再現・改良は出来ません(柄の修復や交換は出来ます)。ただしそれなりに数は出回っているので、破損しても新しいビークを手に入れることは容易です。
 また、結晶化の機能はルードの本体と連動しているため、他の種族がビークを使っても対象を結晶化させる事は出来ません。

 形は槍がほとんどですが、突き刺す動きが出来れば結晶化させるのは問題ないらしく、剣やポールウェポン、ピック型に柄を付け替えたビークも少数ですが使われています。


 なお、理論上は人間にもビークを使うことが出来ます。魔力量の多い人間にビークを使えば、ほぼ間違いなく貴晶石になります。
 ですが、もちろん生きた人間にビークを使うことは、ルードの掟で厳重に禁止されています。掟を破ったルードは『壊れたルード』として、他のルードから狙われる存在になります。

 ルードがビークを人間に使う事が許されているのは、死んだ人間を看取る時のみです。


参考資料:ビークを構えたルード


ビークのブレード部は可動式で、両刃と片刃で使い分ける事が出来る。


魔晶石を挟み込んだビーク。その名の通りのくちばしや、鋏をイメージさせる形態。
結晶化した魔晶石を抜き取る場合や、魔晶石の力を解放させる時などに威力を発揮する。



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