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「新種の変異獣?」
 カウンターでそう呟いたのは、一人の少女だった。
「ええ。新しく見つかった洞窟の方で、未確認かつ非常に強力なアルタード・ビース
トが暴れているそうよ。もう何人ものハンターがやられてるみたい」
 そう言ってきた受付嬢より、随分と若い。いや、若すぎる。まだ10台の半ばか、
ヘタをすればそこまで行っていないくらいだろう。
 華奢と言っていい身体に明るい蜂蜜色の髪の娘は、屈強のハンターズ・ギルドより
も雑誌のグラビアでも飾っておく方が相応しく見える。
「洞窟っていえば、『歩兵』達にカマキリ、花に竜に水……ああ、蟹もいたかしらね」
 だが、少女がすらすらと上げていくのは流行の品の名前ではなく、洞窟に巣くう変
異生物どものコードネームだった。それぞれ、シャーク、グラスアサッシン、リリー、
ドラゴン、スライム、パンアームズに対応する。歴戦のハンター達の間では、長くて
言いづらい正式名称が使われることは滅多にない。その事から、少女は相当の戦闘を
くぐり抜けてきたハンターなのだと知れた。
「任務は標的の殲滅。可能なら標的データの収集。ハンターギルドからの正式な依頼
だけど……」
「あ、『船虫』じゃ、ないのよね?」
 それは、洞窟の深奥部に住まう巨大な甲殻生命の名。一説にはパイオニア1の科学
者が実験中に偶然生み出した変異体だとも言われる。ラグオルの広大な地下空間に変
異獣の一大帝国を作った元凶存在だ。
 大概は耐久値が高いだけの個体なのだが、『変異体』と呼ぶに相応しく、とんでも
なく強力なのが希にいるのだ。他のエリアの個体とは桁外れな強さを持つ「そいつ」
の前では、ランク90オーバーのハンターですら負ける事があるという。
 負けると思っているわけではないが、望んで戦いたい相手でもない。
「知ってるでしょ? 『船虫』……『デ・ロル・レ』に関してはキュート達が取って
きたサンプルが沢山あるって。今回の件は、それを含めてパイオニア2のデータバン
クにはない個体だとか」
「まあ、一応聞いてみただけだから」
 実際は、『船虫』のサンプルが大量にある事など周知の事実。出所は一応不明だが、
その破片を転用したエネミーウェポンも計画されている……と聞く。
「どうする? 引き受けないのなら、他の人に回すけど」
「あ、うん。じゃ、その依頼……受けるわ」
 まるで新調した服を買いでもするかのような口調で、少女……キュートはその依頼
を受けた。
「そうそう。ついでにこの『新型防具のテスト』ってのも引き受けていいかしら?」



ハンターズ・ハンターズ



「たく、だから洞窟は嫌いなのよ……」
 ブリューナクを軽く一振りして付いた汚れを払い、キュートは鬱陶しげにそう呟く。
 辺りは血の匂いに満ちていた。空の見える森やオイル臭だけの坑道と違い、狭い洞
窟……特に閉鎖空間である第2階層では異様に匂いが籠もってしまうのだ。
 かく言うキュートもスライムを倒した時に内部の粘液をモロに被ってしまい、汗だ
けではない異臭を漂わせている。普段なら防具から発生するフォトンのバリアで返り
血や粘液は防げるのだが、今付けている『新型防具』にはその機能が付いていなかっ
たのだ。
「あーあ。どこかで綺麗にしたいな……」
 ぬるりと口元にまとわりつく粘液を不快げに指で拭い、一言。
 既に第2階層まで到達しているが、今までに倒してきたのは見慣れた変異獣ばかり。
中には腕が三本のシャークなどがいた気もするが、突然変異生物の群れの中ではそう
珍しい部類ではない。
 まだ、家に帰ってシャワーを浴びる事は出来そうにない。
「どこかに……」
 と、漠然とそんな事を考えていた彼女の目の前に映ったのは、広がる泉だった。地
層構造により濾過された清浄な水をたたえた、地下水湖だ。
 手元のレーダーに目をやると、周囲に変異獣や同業者の反応はない。
 返り血と粘液に汚れきった身体。
 清浄な地下水。
 そして、周囲には誰もいない。
 まったくもって魅惑的な状況だった。
「ちょっとくらい……いいかな」
 自答するようにそう呟き、武器を水底に突き立てる。「試験中は防具を外さないで
ください」という指示だったから鎧だけは付けたまま、湖水に素足を浸した。そのま
ま歩を進め、足のつかないところまで行って、水の浮力だけに身体を委ねる。
 鎧の内側にまで冷たい水が入り込み、火照った体を心地よく冷やしてくれた。後で
下着が濡れているのに難儀するかもしれないが、それすらも今の快楽の前では些細な
問題に過ぎない。

 だが。
 『衝撃』は、予想だにしなかった所から来た。

「まさか、『上』からとはね! 未確認の変異体さん!」
 すぐ手元に刺さっていたブリューナクを引き抜き、ずぶ濡れのキュートは目の前の
異形の怪物にその蒼く輝く穂先を突き付けた。
 全高は5mはあるだろうか。大きく、それ以上に頑丈そうな四肢。キュートの印象
からすれば、森に住むヒルデベアに似ている。多分ヒルデベアに偶然『デ・ロル・レ』
の変異体細胞が寄生し、そのまま宿主を支配してしまったのだろう。両肩にリリーら
しき物体が生えている事と、全体的に奇妙に歪んでいるラインを除けば、ヒルデベア
の面影らしき物が見て取れる。
 そいつが、オリジナルを数倍する跳躍力をもって『上』から襲いかかってきたのだ。
 着地時に爆裂した水流にマグや装備類は流されてしまったが、とりあえず手元に武
器と鎧はある。戦えないことは……ない。
 はずだったのだが。
「……!?」
 身体に力が入らない。
(リリーの麻痺……? いや、違う)
 両肩のリリーが動いた様子はない。それに、麻痺の感触とはどことなく違う。
 くちゅり……
「!?」
 不可解な感触と共に、艶めかしい水音が響いた。それと同時に彼女の踏みしめた脚
から僅かに力が抜ける。
「あ……はうっ!」
 ブリューナクの柄を支えに、倒れる事だけは防いだ。
 パタタッ……
 だが、その衝撃で何か水滴……いや、それよりも僅かに粘液質な液体……の跳ねる
ような音が洞窟に響く。
「くぅ……ンっ」
 全身を巡るのは、デ・ロル・レの触手やスライムに捕まったときにゆっくりと撫で
回されるような、耐え難い嫌悪感。だが、それと同時に愛撫されているような恍惚感
も伝わってくる。
 感触は……彼女本人の股間から。いや、正確に言えば、彼女の着ている鎧の、股間
部分からだ。
 ぬちゅ……ぐちゅっ
「ん……あ……はぁぁっ!」
 そして、貫かれた。
 敵を前にしているというのに、膝が折れ、武器が落ちた。
 キュートの中に入り込んだ『何か』が胎内で蠕動運動している感触が、いやらしい
音と共に生々しく伝わってくる。
「て、敵が……前に……いる……の……ああんっ!」
 必死に落ちているブリューナクへと華奢な腕を伸ばすが、触れる寸前の所で快楽に
指が跳ね、躯が崩れる。跳ねた指に弾かれ、さらに向こうへと転がっていく愛用の槍。
 既に、躯同様その指の自由もない。キュートの必死の抵抗も空しく、両の手は愛撫
の続く股間へとゆっくりと伸びて行くのみ。快感を取り除くためではなく、むしろそ
れを強めるために、伸びていく。
 くちゃ……
 濡れた股間に、指が届く。鎧……硬化処理の施されたボディスーツの上からでも、
股間が濡れているのが分かった。細い指に絡み付く粘液がキュート本人の愛液か、謎
の挿入者が放った体液か、そこまでは分からないけれど。
 分かるのは、倍された快感だけ。
「ああんっ!」
 快楽にうずくまった、そこで見えた。
「あ……あぅ……ま……まさか……ぅン……これ……」
 下半身に絡み付くように展開し、股間をまさぐる指を包み込むようにして蠢く、
『鎧』の生々しい姿を。
「ンっ……寄生……防具」
 そこで少女はようやく気が付いた。
 デ・ロル・レのサンプルを使って開発されているエネミーウェポンとは、まさにこ
の事だったのだ。生命エネルギーを防御力に転換する新型鎧と聞いていたが、まさか
それが変異獣の破片を使った生体防具だとは思いも寄らなかった。
 目の前の寄生獣の生体フォトンに同調し、活性化したのだろう。
「こ、こんな……も……うぐぅっ」
 外そうともがくが、自らの危険を感知した鎧はキュートの指を支配し、宿主の股間
により強い愛撫を与えてくる。感知範囲が狭いのか単に知性がないだけなのか、ヒル
デベアと戦わなければ宿主の命に関わる……という所までは考えが及ばないようだ。
「ン……はぁっ……ヤ……」
 少女のいまだ持つ装甲解除の意志に抵抗するかのように、指の愛撫はさらに勢いを
増していく。それどころか、二本の人差し指が胎内へゆっくりと入っていくではない
か。寄生防具から生み出された触手群を押しのける感触を同時に伝えながら、主の意
志を離れた人差し指はぬちゅぬちゅと抽挿を繰り返していく。
 醜い怪物の目の前で同じ怪物から作られた鎧に犯される、あられもない痴態。その
屈辱的な光景を僅かでも隠そうと小さくうずくまったまま、少女は強制された自慰行
為の快楽に必死に耐え続ける。
 そして。
 こちらの様子をじっと伺っていたヒルデベアが、ついにその動きを開始した。


 最初それを見たとき、キュートにはそれが何か分からなかった。
「ま、まさか……」
 気付いたのは、それが寄生防具の取り払われた……もとは同じデ・ロル・レ同士考
えが通じるのか、寄生防具はヒルデベアには進んで『道』を開けた……彼女の股間に
辿り着いた時。
「嫌! 嫌ァっ!」
 普段の冷静な彼女はそこにはいない。仰向けになった無防備な体勢のまま、股間に
伸びていた手を半狂乱に動かし、それの進行を僅かでも遅らせようと全身の力を込め
る。しかし、寄生防具に支配された両腕は彼女の意志を半分も具現化しようとはしな
かった。それどころか愛しい物でも求めるかのように、その熱い物体の先端を両の手
のひらで覆い、自らの秘所へと導いていく。
「嫌ぁぁぁっ!」
 くちゃ、ではなく、ぐぢゃ、という鈍い水音が響いた。
 入り口の粘膜に何か圧倒的に巨大な物体が触れた感触が、たぎりが、生々しく伝
わってくる。
 体長5mの変異獣の、男根の感触が。
「嫌ぁぁ……そんなの入れたら、壊れちゃう! 壊れちゃう……よぉ……あぐ……あ
ぐぅぅ」
 キュートのように小さな娘の両手では覆いきれない先端を持つ巨大なペニスだ。い
くら少女を引き裂こうとも、そんな巨根が少女の股間に入ろうはずもない。入り口近
くに僅かに先端が入っただけで、ベアの動きが止まる。
 寄生防具の陵辱を受けながらも、少女は僅かに安堵。
「あ………はぅ……よか……た!?」
 しかし、ヒルデベアの無機的な瞳が……僅かに歪んだ。ように見えた、次の瞬間。
 股間を突いていたペニスが、少女の仰向けの全身に振り下ろされた。
「んくっ!」
 衝撃に、肺から息が洩れる。慌てて息を吸い込むと、今度は鼻を突く異様な悪臭に
むせ返った。だが、その悪臭にむせかえる余裕は、少女には与えられない。
 さながら、仰向けの華奢な躯の全身をレールに見立てたかのように、ヒルデベアの
ペニスがピストン運動を始めていたのだ。寄生防具の吐き出す粘液で僅かに膨らんだ
腹といい、スレンダーな胸といい、お構いなし。防具の束縛できつく閉じられた太も
もを門として激しく往復し、しごかれて搾られた透明な液体が彼女の股間へと溜まっ
ていく。
 ベタベタになったキュートの端正な容貌は先走った透明な液体に汚され、既に涙と
粘液の判別も付かない。綺麗な蜂蜜色の髪も粘液で所々固まっている。粘液の方も陵
辱の鎧の物か、巨大変異獣のものか、先程の戦いでの洗い残しなのか、それとも彼女
本人の愛液なのか、区別などつくものではない。
 整った鼻先まで突き付けられる巨根に、むせび、泣く。
 その永劫とも思われるピストン運動が、唐突に止んだ。
「ぅぅ……! 駄目! それだけは駄目ェェェェェェっ!」
 膣口となった太ももから引き抜かれ、股間に押し当てられた異様な大きさのペニス。
次の瞬間に何が起こるか悟ったキュートは、喉が張り裂けるほどに絶叫する。
 だが、それは聞き入れられなかった。
 どぶぉっ! 
 射精。
 数10リットルという量の精液が射精された音は、少女の想像した『最悪』をはる
かに絶する。
 まず、スライムの粘液や先程の悪臭など比較にもならない獣の臭いが、猛然と少女
に襲いかかった。
 次に射出された液体がキュートの膣と小さな子宮を一瞬で満たし、中にあった全て
の寄生防具を押し流す。それの洗浄に使われなかった液体は一度も犯されていなかっ
たアナルをその圧力だけでこじ開け、直腸を逆流するほどに満たし、さらに余った液
体は華奢な娘の全身を精液で洗い清めた。
 小柄な身体は同時に圧で吹っ飛ばされ、第2射、第3射の精液のシャワーを浴びな
がら2転、3転。泥と精液まみれになった姿でかつては清浄だった地下水湖へと叩き
付けられた。彼女に決定的な一打が入らなかったのは、残った部分で彼女を犯そうと
まとわりついていた寄生防具のおかげ……というのは皮肉な話だろう。
 力無く、悪臭の広がって汚染され始めた地下水湖に力無く浮かぶ、少女のからだ。
「ぅ……ぐぅ……め……メギ……」
 そんな中。口、膣、肛門、果ては鼻や毛の穴まで、全身の全ての穴から巨獣の精の
たぎりを無理矢理に感じさせられつつ、少女はうめき声を上げた。
 その声に応じ、どう、という音を立てて崩れ落ちる巨獣…………。



 1時間が、過ぎた。
「……ひっく……」
 暗い洞窟の中に響くのは、小さな少女の泣きじゃくる声。
 キュートだ。
 とぼとぼと歩くその姿は満身創痍。相変わらず股間に一部を潜ませている寄生防具
は壊れ、ほとんど全裸も同然だし、お供のマグすら浮かんでいない。フォトンの刃の
失われた槍にすがり、何とか歩いている……という有様だ。
 と、唯一無事に回収できたレーダーに、影が映った。
「……これ……反応?」
 反応は変異体のものと、ハンターの発信器のもの。戦っているのだろうか。だんだ
んと、こちらに近付いてくる。
「テレパイプだけでも……貸してもらえないかなぁ」
 先程のメギドで気力も限界。リューカーを使う気力もない。
 僅かな期待を胸に、角を曲がり……
「あ…………」
 少女は見た。人に宿り、異形の生物と化させた変異体の姿を。
 余程寄生力の強い『船虫』と戦い、負けたのだろう。行方不明になったハンター達
は死んでなおデ・ロル・レの細胞を埋め込まれ、半死体の怪物と化していたのだ。さ
ながら、生きたダブチックとでもいった所だろうか。
 変異体とハンターの反応が同時にあるのも、当然である。
「もう……嫌ぁ……ン……」
 先程の時と同様、同類の活性を感じているのだろう。股間に蠢く寄生防具から伝
わってくる快感が強くなる。こちらも既に性欲だけで動いているのだろう。変異体ハ
ンターの群れも、健全な者ですら劣情を催しかねない装いのキュートを見るや半ば異
形化したペニスを次々と取り出し始めた。
 武器を取り落とし、寄生防具にされるがままのキュートに逃げる術はない。


「ったく、これだからチビッコはYO! 行け! イブ!」
「了解!」
 少女は、彼女の期待した助けが来るまで、彼等の宴に巻き込まれることとなる……。

< 単発小説 >



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