「タツキにお客なんて、珍しいなぁ」 コンクリートの廊下を歩きながら、オレンジの服に身を包んだ男は明るくそう言った。体を鍛えているせいか、普通に話すだけでも大きな声だ。 「タツキちゃん、元気にやってますか?」 「ああ。あの子が来てから、職場がぱっと明るくなってね。前はあんまり……っと、こんな所でする話じゃないか」 穏やかに笑う男は、背筋を真っ直ぐ伸ばしたまま歩いている。毎日の厳しい訓練のおかげで、自然と身に付いているのだろう。 ここはタツキが配備されたレスキューの本部だった。 イクル達の街から百キロほど離れたところにあるこの街は、大規模な化学プラントや巨大な港湾施設を持つ、県下最大の工業都市だ。住民も多く、近隣の市にまたがって存在する工業地帯を持つ街はレスキューの出番に事欠かない。 長い廊下を抜け、広いオフィスへ。個室に区切られた研究所しか見たことのないイクルは、仕切り一つ無い広大な作業場に目を丸くする。 「班長。タツキにお客さんなんですけど」 オレンジの男の声に、班長と呼ばれた男はちらりとイクルを一瞥。 「タツキなら、非番の二班と仮眠室にいるよ」 「仮眠室って……?」 言われ、首を傾げる。 タツキ達がわざわざ仮眠室で眠る必要は無いはずだ。研究所でも、いつも止まり木で眠っていたはずなのに。 「ま、見れば分かんじゃない?」 班長にそう言われ、オレンジの男に案内されてイクルは仮眠室へと向かう。 第2話 Gのきもち Gのこころ 放たれた精を、蒼い髪の娘はその幼い美貌全てで受け止めた。 「ん……っ。ぷはぁ……」 黄色く濁った液が目に入り、内から自然に涙があふれ出る。 彼女の顔を穢したのは目の前にある肉の凶器ではなかった。眼前の黒ずんだ肉棒は、まだ少女の小さな口を犯している最中だ。 「ライカ……出るっ!」 再び鈍い音がして、緩くウェーブして流れる少女の髪を、はだけられた少女の胸元を、濁った色がびしゃびしゃと汚していく。これもまた、少女がくわえたままのものからではない。 「ライカちゃん、手が、お留守になってるよ」 「まあ……。申し……訳、ありません」 優しくそう言われ、少女は右手に握られていた熱いものを柔らかくこすり始めた。先走る透明な液に濡れた五本の指が、仮眠室の薄暗い明かりをはね返し、てらてらと艶めかしく踊る。 狭い部屋に一体何人の男が居るのだろう。すえた男の臭いが漂う空間には、無数の荒い息づかいが交じっていた。 ぶしゅ、と音が響き、どこからともなく飛んできた精液がまたもやライカの頬を汚す。高貴な獅子王の名を持つ少女の美しい顔を、優雅な髪を、男の穢れた液体がドロドロと汚していく。 「お前、まだ出ねえの?」 そんな中、一人だけ何もしていなかった男が口を開いた。 「すまん……まだ」 答えたのは、一人だけ寝ころんでいた男だ。 「あら。先程……んく……お出しに……なり、ません……ちゅ……でしたの?」 男の射精を薄くリップの引かれた口で受け止めながら、少女の声が獣の檻に響いた。まさに、狼の檻の中に放り込まれた羊のような、たおやかな声。 「テメ、一回で交代だって言ったろ! やっちまえ!」 流石にレスキュー隊だけあって力が強く、結束も硬い。ライカの股間にいた男は、あっという間に下から引きずり出されてしまう。 抜かれた瞬間に達してしまったのか、びゅるびゅると飛び散った粘液がライカの下半身を白く染めた。 「あぁ……ドロドロ……ぉ……」 体中を染める熱さに、蕩けたような息を吐く。 「じゃ、次は俺の番、っと」 問うた男が嬉々としてライカの腰を抱き、バックから押し込んだ。 「あぁ……っ! やぁ……っ……ふとぉ……い」 もう何人の精に汚れたか分からぬ膣は、入口まであふれた精液を潤滑剤にして、なんの抵抗もなく男のペニスを受け入れた。少女の意志とは関係なく、無数の襞が男をくわえ込み、ぬめぬめと絡み付く。 「お前なぁ、バックだとやりにくいんだよ。こっちは」 「そうそう」 ライカに口で奉仕させている男がぼやくと、右手で愛撫させている男も首を縦に振った。もちろん口は、先程の男からちゃんと入れ替わっている。 「いいじゃないすか。好きなんだから……先輩も知ってるでしょ?」 「まあ、な」 へらりと相好を崩し、手に射精。ゲッター二番機特有のか細い腕を汚し、飛んだ精はぷっくりと膨れた乳首に引っかかって黄色く変色したシーツにこぼれ落ちる。 「ありがとよ、ライカちゃん」 汚れた手で蒼い髪と愛らしいリボンをぐしぐしと嬲っておいて、控えと交代……しようとするが、待っている顔は誰もいない。 「なんだ。もう終わりか?」 「先輩、もっかいやっていいッスよ。俺、もう三回もヌいてもらっちゃったし」 だらしない、と嘆いておいて、先輩と呼ばれた男は床に突いていたライカの手を再び取り上げる。 「ぇあ……っ。まだ……こんな……ぁはっ!」 口の中へ大量の精液を注ぎ込まれながら、ライカは呆然と問うた。まだ興奮冷めやらぬペニスを口から離した瞬間に後ろからも強く放たれ、熱い息と共に小さな口から濁った精がこぼれ落ちる。 とろとろと胸元に溢れた精を拭いつつ、青髪の少女は目の前に立つ男を見上げた。 「……まだ、なのですか?」 「じゃあよ、ライカ。ちょっとシウミに替わらねえか?」 シウミに替わった途端、男達の手が伸びたのは大きくふくらんだ胴衣の胸元だった。紐がするりと引き抜かれ、オレンジの胴衣からの拘束を解かれた乳房が弾かれたように飛び出す。 ぷるんという音を立てて揺れるたわわな乳房に、我先にと男達の手が殺到する。 「ん……っ」 精に汚れた無数の手で乱暴に揉みし抱かれ、無口な少女は小さく呻き声を漏らした。長い三つ編みを引っ張られて体勢を崩され、転んだところでスパッツをずり下げられて、声を上げようとしたところで口にペニスを押し込まれてしまう。 「んむ……っ……。ふぇ……はぁ……らぃ……か……のぉ……」 すえた臭いの染みついたそれを何とか吐き出し、涙目でそう訴える。 彼らはもう疲れ切っているのではなかったのか。だから、最後の一人はシウミに替わるよう言ったのではなかったのか。 「まあ、シウミちゃんは別腹って事で」 ヘラヘラと紡がれた言葉に、周囲からもそうだそうだと笑いが上がる。 「ごめんな、お口はライカちゃんの役目だったよな」 「はぁっ……っ」 ペニスを口に押し込んできた男は、今度はシウミの大きな胸を掴み、シウミの唾液の絡むそれを挟み込んできた。周りの男達もそれに協力しようというのか、挟んだ胸の両脇に次々と手を伸ばし、胸を思い思いに揉み始める。 「やぁ……すごぉ……」 男達の中には手のひらどころかそそり立ったモノで乳房を押す者までいる始末。乱暴に揉みしだかれ、熱いモノを押し付けられる強制のパイズリ奉仕。ぷっくりとふくらんだ乳首は指でつまみあげられ、濡れたペニスで潰される。 ふくらみに対するあまりの蹂躙に、シウミは声も出ない。 やがて、下半身にも熱い感触が来た。 「そこぉ……ちが……ぁ……っ」 対する男は先輩と呼ばれた男だ。入口を揉みほぐしながら無言で位置を調整し、愛液をたっぷりと擦り込んだそこに剛直をぐいと突き込んでやる。 「ぁはぁっ!」 シウミの唇から嬌声が漏れた。全身を嬲られたままの不自然な体勢で腰を振り、後ろの穴から伝わってくる快楽をより高めようと肢体を淫らにくねらせる。 いつもは無愛想で無表情な少女の意外な乱れっぷりに、賛美の白濁が飛んだ。 乳房を押していたペニスが、長い栗色の三つ編みを絡ませていたペニスが、柔らかな頬をこすっていたペニスが。 とうに尽きたはずの白い液体をほとばしらせる。 「あつぅぃ……」 額のゴーグルから柔らかな頬と胸、オレンジの胴衣に至るまでの全てを汚濁に穢された少女の口から、甘い息がこぼれた。絶え間なく伝わってくる胸からの熱に、自意識プログラムは既に判断力を失っている。 胸とアナルを犯されたまま、少女は体を支えていた右手を伸ばした。全身を嬲られているから体勢は崩れない。目の前でシウミの三つ編みで汚れたペニスを拭き取っていた男のきれいになったばかりのそれを取り……。 自ら、口に含んだ。 「んむ……んちゅ……っ」 先程嫌がった口での奉仕を自分から開始する。上げた喉元に胸からの射精が直撃するが、もうそれすらも気持ちよかった。 次々と胸元からの熱の質が変わり、ずくずくと響いてくる尻への精も留まる事がない。ペニスが抜かれるたびに胸元やアナルから精液がこぼれ落ちるが、研ぎ澄まされた性感帯はその全てを快楽として受信する。 口腔奉仕が絶頂に至る瞬間、唇と舌の全てでするりと竿全体をねぶりあげ、口の外へ。 顔前で放たれる白い精に、シウミはうっとりと目を細めるのだった。 その時、仮眠室のドアが勢いよく開いた。 「タツキちゃん!」 飛び込んできたのは、鋭い声。 「な……え……ええ……っ!?」 中の光景を見た瞬間、その声が凍り付いた。 「シウミ……ちゃん?」 中にいたのは十人に届こうかという体格の良い男達。そして、その中央で犯されている、無惨なシウミの姿。全身を白く穢し、ぱっくりと開いた股間から醜い液体を垂れ流す……『G』の名を持つゲッターの姿。 「あー。ちゃんと換気しといて下さいよ、先輩達。こないだ使おうと思ったら、臭いメチャクチャ籠もってるんですもん」 呆然と立ちすくむイクルの後ろから聞こえてきたのは、オレンジの服を着た案内の男の声だ。イクルに笑いかけるのと全く変わらないその声は、男達の凶行など見えていないかのよう。 「ああ、スマン。緊急が入ったんだわ、あん時」 答える一団もシウミにはたらいた乱暴を気付いていないのか、平然に応じる。すえた雄の臭いと無惨に犯し抜かれた少女さえ居なければ、ただのオフィスの会話だ。 「嘘……なんでシウミちゃんが……」 一人置いてけぼりのイクルも、立ち直る余裕すらなかった。 だが。 「よう。久しぶりじゃねえか、イクル」 ぶっきらぼうな声が、凄惨な場に響く。 「……え?」 ゆっくりと中央に立ち上がったのは、ドロドロに汚された少女だった。無口なシウミから入れ替わった、タツキである。 「悪ィ。オレの客だから、ちょっとひとっ風呂浴びてくらぁ」 「おーう。ゆっくりなー」 陵辱の限りを尽くした男達にあろうことかそう挨拶し、隣に据え付けられたシャワー室へと姿を消す。 その堂々とした振る舞いは、研究所にいた時と全く変わらない。荒々しい男達に囲まれてなお、女王のような威厳を漂わせるほどだ。 「えーっと……」 大事なことにふと気付き、イクルは半歩退いて身を固めた。 「ああ、警戒しなくても平気だよ。別に酷いコトなんかしないから」 オレンジの男にそう言われた所で、易々と解けるものではない。何せ相手は、タツキ達にその酷いコトをしたばかりの連中なのだ。 「お前が仮眠室なんかに連れてくるからだろ、阿呆」 「まあ、そうっちゃあ、そうなんですが……」 妙に和やかな一同。 「俺達が何言っても信じないだろうから、ライカちゃんかタツキ姐に聞くといいや」 結局、タツキが戻ってくるまでの十分ほど、イクルが警戒を解くことはないのだった。 |